三線の練習曲、多すぎ?一曲を深く仕上げる練習法のすすめ

こんにちは。

栗山新也沖縄三線教室の栗山です。

三線の練習をしていて、こんなふうに感じたことはありませんか?

「曲が増えてきて、どれも中途半端になっている気がする…」

「次のレッスンまでに全部さらわなきゃ、と焦ってしまう…」

実はこれ、多くの生徒さんが一度は経験する悩みです。

この記事では、練習曲が増えてきたときに役立つ練習曲の整理術と、一曲を深く仕上げることで得られるメリットについてご紹介します。

目次

一曲以外捨ててみよう

『上達の技術』(岡本浩一著、PHP研究所)という本に、三線の上達に直結するヒントがあります。

桐朋音楽大学の故齋藤秀雄教授が実践した「齋藤メソッド」という指導法で、たった一曲にじっくり時間をかけて仕上げていくというものです。ときには半日かけて数小節しか進まないこともあったそうですが、この精密さで一曲を仕上げていくと、ある時点から演奏そのものへの理解が大きく開けるようになったと書かれています(148頁)。

浅く何曲もこなすより、一曲を深く掘り下げるほうが、音楽の本質に近づけるということですね(*^^*)

私自身の経験から

これを読んで、ふと私自身の経験と重なりました。

三線をはじめたころ、古典音楽の「かぎやで風」という曲を何度も何度も(現在でも!)弾きつづけてきました。そうすることで、沖縄音楽の演奏に必要な技が体にしっかり定着し、さらに沖縄音楽の特徴や「演奏はどうあるべきか」という深い部分に触れることができたんです。

そこで皆さんにご提案したいのは、練習曲を整理して、一曲を丁寧に仕上げることです。

「一曲集中」で何が変わるのか

一曲を深く練習することで得られるメリットは、その曲が上手に弾けるようになることだけではありません。

具体的には、次のような力が身についていきます。

①指の動きが体に定着する
同じ曲を繰り返すことで、工工四(くんくんしー)を目で追わなくても指が自然に動くようになります。この「体が覚えている」状態をつくることが、上達の土台になります。

②曲の構造がわかるようになる
何度も弾いていると、「ここで同じメロディが繰り返されている」「この部分だけリズムが変わる」といった曲の構造が見えてきます。この感覚は、新しい曲に取り組んだときの理解力にもつながります。

③暗譜が早くなる
一曲を暗譜まで仕上げた経験があると、次の曲でも「どうやって覚えればいいか」のコツがつかめるようになります。暗譜の力は、一曲を丁寧に仕上げることで鍛えられます。

④音楽への理解が深まる
一曲に向き合い続けると、テンポの取り方、音の強弱、歌と三線の合わせ方など、細かいニュアンスに自然と意識が向くようになります。これは「弾ける」から「聴かせられる」へのステップアップに直結します。

つまり、一曲を深く仕上げることは、その曲だけでなく三線の演奏全体の底上げになるのです。

初心者の方へ──まず一曲、暗譜をめざそう

三線を始めたばかりの方は、まず一曲を「暗譜で最後まで弾ける」状態にすることをめざしてみてください。

たとえば「島人ぬ宝」を譜面を見て弾けたということで終わらせず、暗譜して3番まで弾けるようになることを目標にしてみましょう。

「譜面を見ながらなんとなく弾ける」と「何も見ずに弾ける」の間には、大きな差があります。暗譜に取り組むことで、曲の流れが体に入り、演奏に余裕が生まれます。

ある程度弾けるようになってきた方へ──「聴かせる演奏」を目標に

すでに何曲かレパートリーがある方は、そのなかから一曲を選んで「人前で聴かせられるレベル」を目標にしてみてください。

テンポの安定、歌との合わせ方、音の強弱など、細かい部分まで意識して仕上げることで、演奏力がぐっと上がります。

具体的にチェックしてみてほしいポイントとしては、次のようなものがあります。

・テンポが途中で速くなったり遅くなったりしていないか
・歌い出しと三線の入りがずれていないか
・最初から最後まで、同じ集中力で弾けているか

自分の演奏をスマートフォンなどで録音して聴き返してみると、思った以上に気づきがありますよ。

「でも、他の曲も忘れそうで不安…」という方へ

一曲に集中すると、他の曲を忘れてしまうのではないか……と心配される方もいらっしゃいます。

たしかに、しばらく弾かないと細かい部分を忘れることはあります。でも、一度しっかり弾けた曲は、少し弾き直せばすぐに思い出せます。

反対に、毎回すべての曲を少しずつ練習する「浅く広く」の練習では、どの曲も表面をなぞっただけの状態が続き、なかなか実力が積み上がりません。

まずは一曲をしっかり仕上げて、そのあとで次の曲に進む。このほうが結果的には効率のよい練習法になります。

まとめ

練習曲が増えてきたときこそ、あえて一曲に絞ってじっくり取り組んでみてください。

一曲を深く仕上げることで、指の動きが体に定着し、曲の構造への理解が深まり、暗譜する力も育ちます。その経験は、次の曲、そのまた次の曲へと確実につながっていきます。

ぜひ限りある練習時間を有効活用してくださいね!

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