三線のコンクールは受けたほうがいい?——講師が考える、コンクールの本当の価値

こんにちは!栗山新也沖縄三線教室の栗山です(*^^*)

今日は、三線の「コンクール」についてお話ししたいと思います。

当教室では、これまでに7名の生徒さんが沖縄の古典芸能コンクール三線部門に挑戦し、合格しています。

ただ、この記事はコンクールの合格実績を紹介したいわけではありません。

コンクールとはそもそもどういうものなのか。受けると何が変わるのか。受けなくてもいいのか。——三線講師として、そして自分自身もコンクールを経験した一人の奏者として、思っていることを書いてみます。

目次

そもそも三線のコンクールとは?

三線のコンクールは、一般的なコンテストやコンペティションとは少し性質が異なります。

順位を競い合うものではなく、どちらかといえば「昇段制度」に近い仕組みです。新人賞、優秀賞、最高賞といった段階があり、課題曲を審査員の前で演奏して、基準に達していれば合格となります。

つまり、誰かに勝つのではなく、「この曲をこのレベルで演奏できる」ということを証明する場です。

また、私が習っている安冨祖流では、将来教師免許を取得するためにはコンクールに合格していることが条件のひとつになっています。いつか三線を人に教えたいと思う方にとっては、コンクールは避けて通れない道でもあります。

コンクール指導は、生徒さんの「受けたい!」から始まった

私がコンクールの指導をするようになったのは4年前のことです。

きっかけは、鈴鹿教室の生徒さんから上がった「受けてみたい!」という声でした。私から勧めたわけではありません。

最初に挑戦したのは3名。課題曲は古典音楽の難曲「伊野波節(ぬふぁぶし)」。「相当稽古が必要ですよ」とお伝えしたのを、今でもよく覚えています。

結果は——全員合格でした。

あのとき感じたのは、生徒さんの自発的な意欲がいかに大事かということです。「やらされる稽古」と「自分で決めた稽古」では、向き合い方がまったく違う。だからこそ、私はコンクールを無理に勧めることはしませんし、受けたいという気持ちを否定することもしません。

受けてみようと思う方がいたら、全力で教えます。

一曲を「弾ける」と「仕上げる」は、まったく違う

コンクールを経験した生徒さんに共通して起きる変化があります。

それは、一曲に向き合う姿勢が根本から変わるということです。

普段のレッスンでは、楽譜を見ながら曲を覚えて、弾けるようになったら次の曲へ、という流れで進みます。もちろん、それだけでも三線は十分に楽しい。

でもコンクールでは、一曲を暗譜で演奏し、審査員の前で弾き、細かい演奏技術まで採点されます。ちょっと練習したら完成する、というものではありません。曲を覚えたあとに、さらに人前で弾けるレベルまで仕上げていくという工程が待っています。

自分が普段意識できていなかったミスや癖にも向き合わなければなりません。

「一曲を仕上げるって、こんなに大変なことなんだ」

これを体感的に理解できることが、コンクールを受ける一番の価値だと私は思っています。そしてこの経験は、コンクールが終わったあとの音楽への向き合い方を大きく変えてくれます。

合格は「ゴール」ではない

コンクールに合格すると、もちろんうれしいです。生徒さんの努力が報われた瞬間は、講師として何よりうれしい。

でも、合格はゴールではありません。通過点です。

たとえ最高賞を取ったとしても、そこからは自分で目標を設定して、それに向けて練習していく日々が続きます。コンクールは「地位や資格を得る」ものではなく、「そのときに、この曲をこのレベルで演奏できた」という記録のようなものです。

だからこそ、合格だけを追い求めるのではなく、一曲一曲に向き合う気持ちをしっかり育てていきたい。それが、私のコンクール指導の基本的な考え方です。

「コンクールを取ること」が目的になってしまうと

コンクールについて、もうひとつ大事なことをお話しさせてください。

コンクールには新人賞・優秀賞・最高賞という段階がありますが、新人賞に合格したからといって、すぐに優秀賞の課題曲に進めばいいかというと、私はそうは思いません。

新人賞と優秀賞のあいだには、「新人賞の段階でこれくらいは弾けたほうがいい」という曲がたくさんあります。それらを飛ばして次の賞の課題曲だけを練習する——そうなると、コンクールに合格すること自体が目的になってしまいます。

もちろん、それで満足する方もいるかもしれません。でも、私の考え方は違います。

コンクールはあくまで、音楽を深く学んでいく道のりのなかにある「節目」です。節目だけを集めても、あいだにある豊かな学びが抜け落ちてしまう。一曲一曲を丁寧に積み重ねていった先に、自然とコンクールがある。私はそういう順番で指導したいと思っています。

本土からコンクールに挑戦するということ

コンクールは沖縄で開催されます。本土で指導する立場として、正直なところ、最初は不安もありました。

沖縄にいれば、日常的に周囲の演奏を聴いたり、先輩方の稽古を見たりする機会があります。本土では、そうした情報が限られます。「本当にコンクールの基準に達しているのだろうか」という不安は、最初の頃はありました。

でも今は、その不安はありません。

大きかったのは、私の師匠である人間国宝・西江喜春先生をはじめ、同じ流派の先生方とのつながりです。コンクール前に師匠に演奏を見ていただいたり、沖縄の先生方からフィードバックをもらえたりする環境がある。

このつながりは、私にとっても、受験する生徒さんにとっても、大きな財産になりました。本土にいても、沖縄の稽古場とつながりながら本格的に学べる。それが当教室の強みのひとつだと思っています。

コンクールを受けなくても、三線は楽しい

ここまでコンクールの話をしてきましたが、最後に大事なことをお伝えしておきます。

コンクールを受けなくても、三線は十分に楽しめます。

当教室の生徒さんのほとんどは、コンクールとは関係なく、自分のペースで三線を楽しんでいらっしゃいます。好きな曲を弾く、レッスン仲間と一緒に演奏する、沖縄の音楽に触れる——それだけで、十分に豊かな時間です。

でも、もし少し興味があるなら、受けてみるのもいいと思います。

コンクールがあってよかったと思うか、別に受けなくても楽しめると思うか。それはご本人が感じ取っていけばいいことです。

私にできるのは、どちらの道を選んでも、その方にとって最善のレッスンをすること。それだけです。

講師自身が、コンクールで学んだこと

最後に、少しだけ私自身の話をさせてください。

私も初めて新人賞を受けたとき、師匠や周りの先生方からたくさんのフィードバックをいただきました。あれが、自分の演奏人生のなかで一番大きな財産だったと思います。

コンクールが終わったあと、師匠が本音で私の歌を評価してくれました。いいところはちゃんと褒めてくれる。でも、ダメなところはその後しっかりと教えてくれる。

「声が高くて太い」と言ってもらえたことは、今でもはっきり覚えています。一方で、「テンポが速くなるところがある。あそこさえ速くなければ、とても良かったのに」とも言われました。

自分の強みと、自分の癖。普段の練習だけでは気づけなかったことが、コンクールという場を通じて、師匠の言葉を通じて、はっきりと見えてきたんです。

だから、生徒さんがコンクールに挑戦するときには、その方にも同じような経験をしてほしいと思っています。合格はもちろんうれしいけれど、それ以上に、一曲を通じて自分自身と向き合う経験——それがコンクールの本当の価値だと、私は信じています。

生徒さんに学びながら、私自身の指導もよりよいものにしていけたら。そんな気持ちで、これからもコンクール指導に向き合っていきます。

まずは三線に触れてみませんか?

——と、コンクールの話を長々としてきましたが、当教室の生徒さんのほとんどは、コンクールとは関係なく、自分のペースで三線を楽しんでいらっしゃいます。弾いてみたい曲に挑戦する、仲間と一緒に合わせてみる、沖縄気分を味わう。そうした一つひとつが、毎日にちょっとした彩りを添えてくれます。

栗山新也沖縄三線教室は「やさしい」×「たのしい」レッスンを大切に、三線がまったく初めての方を中心にレッスンを行っています。実際、生徒さんの約90%が楽器未経験からのスタートです。コンクールを受けるかどうかは、ずっと先の話で大丈夫。まずは三線に触れて、自分で音を出してみるところからはじめましょう。

「やってみようかな」と思ったら、その気持ちがいちばんのスタートです。当教室では無料体験レッスンを行っていますので、少しでも気になった方は、どうぞ気軽にのぞいてみてください(*^^*)

お電話でのお問い合わせもお気軽にどうぞ|090-6083-8357

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