仲風(なかふう)とは|琉歌と和歌が出会った沖縄古典音楽の歌詞形式を解説

沖縄古典音楽の三線

こんにちは。栗山新也沖縄三線教室の栗山です。

沖縄古典音楽の世界には、「仲風節(なかふうぶし)」という独唱で歌われる名曲があります。出だしの高音が印象的なこの曲には、実は「仲風(なかふう)」と呼ばれる独特の歌詞形式が用いられていることをご存じでしょうか。

「仲風」とは、日本本土の和歌(わか)と、沖縄の伝統的な歌の形式である琉歌(りゅうか)を折衷した、独特の歌詞形式のことです。様々な文化を柔軟に取り入れながら独自の文化を築いてきた沖縄ならではの、興味深い形式といえます。

この記事では、沖縄音楽研究で博士号を取得した筆者が、「仲風」とは何か、どのように生まれたのか、代表的な楽曲と合わせて分かりやすく解説します。

目次

「仲風(なかふう)」とは何か

「仲風」とは、和歌の音数律と琉歌の音数律を折衷した歌詞形式のことを指します。沖縄古典音楽の中でも、独唱(一人で歌うこと)で歌われる曲に多く見られる形式です。

和歌と琉歌、それぞれの音数

「仲風」を理解するには、まず和歌と琉歌それぞれの音数を知る必要があります。

和歌の音数律は「5音・7音・5音・7音・7音」の合計31音、いわゆる「五七五七七」の形式です。日本本土で千年以上にわたり親しまれてきた歌の形です。

一方、琉歌の音数律は、四つの句で構成され、それぞれ「8音・8音・8音・6音」の合計30音からなります。これが沖縄民謡や古典音楽の多くで使われる基本形式です。

「仲風」の音数:7・5・8・6

「仲風」の音数律は、「7音・5音・8音・6音」という独特の形式です。

これは和歌の「7・5」と、琉歌の後半である「8・6」を組み合わせたもの。本土と沖縄、二つの音楽文化が一つの歌の中で出会っているのです。

代表曲「仲風節」で見る仲風の歌詞

仲風形式の代表曲が「仲風節(なかふうぶし)」です。出だしの高音が特徴的で、独唱で歌われる古典音楽の難曲の一つとされています。

「仲風節」の歌詞は次の通りです。

歌詞読み音数
誠一つのマクトゥフィトゥツィヌ7音
浮世さめウチユサミ5音
のよでい言葉のヌユディイクトゥバヌ8音
あはぬおきゆがアワンウチュガ6音

歌詞をご覧の通り、「7・5・8・6」という仲風形式の音数律が見事に守られています。前半の「7・5」は和歌の音数、後半の「8・6」は琉歌の音数。一つの歌の中に二つの伝統が並び立っているのです。

歌意

「仲風節」の歌意は次のように解されます。

「この世は誠一つの世の中だ。どうして言葉が合わないということがあろうか。」

真心を持って向き合えば、人と人の言葉は必ず通じる――。短い四句の中に、人間関係の本質を捉えた深い思想が込められています。

「仲風」が生まれた背景

「仲風」のような折衷的な歌詞形式が生まれた背景には、琉球王国時代の文化交流があると考えられます。

琉球王国は、中国や日本、東南アジア諸国との交易を通じて、様々な文化を取り入れてきました。特に薩摩侵攻(1609年)以降は、本土の和歌や能、狂言などの文化が沖縄に流入し、それを独自の感性で消化する動きが活発になります。

「仲風」も、こうした文化的交流の中で生まれた歌詞形式の一つです。外来の要素を排除するのではなく、自らの文化と融合させて新しい表現を生み出す――これは沖縄文化全体に通じる柔軟さの表れといえるでしょう。

沖縄音楽の歌詞形式と音楽の関係

沖縄音楽では、歌詞の音数律が音楽の構造と密接に結びついています。

琉歌調(8・8・8・6)の歌詞形式

琉歌調は、沖縄民謡や古典音楽の多くで使われる基本形式です。斉唱(複数人で歌う)で演奏されることが多く、儀礼や祝いの場で歌われる楽曲に多く見られます。

仲風(7・5・8・6)の歌詞形式

仲風形式は、独唱で歌われる古典音楽の楽曲に見られます。一人で歌い上げる形式は、感情の機微を細やかに表現するのに適しており、仲風形式が独唱に多く採用されているのも、こうした表現上の特徴と関わっていると考えられます。

七五調(7・5・7・5)の歌詞形式

沖縄音楽にはさらに「口説(くどぅち)」と呼ばれる七五調の歌詞形式もあります。これは本土の浄瑠璃や和讃の影響を受けた形式です。

このように、沖縄音楽は様々な歌詞形式を内包しており、それぞれが独自の音楽的表現を持っています。

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